フラッシュバック

 

 

横断歩道、きみがこちらに渡る前に月を隠して視界を奪う、決して揺るがないブランコは錆び付いて、そこにあるのは崩れた砂の城

 

中学時代のことを思い出した

やさしくされた記憶は少ない。壊れないようにやさしく取り出す。少し埃をかぶっていたかもしれない。

 

秋の涼しい空気が走り込みで火照った身体を冷やす

太陽が翳るのと同時に心も傾く。俯く。

知らないふりをするのは限界だった。

 

知ってしまったら疑心暗鬼で、いつから?どうして?なにを?疑ったらきりがない。それまで楽しかった時間まで黒く暗く塗りつぶされそうで。

 

息を止める、押し黙る。涙がこぼれないように。

 

いつも元気なわたしの異変に気づいたのはせんぱいだった、うれしいけどすこしかなしいね。

おちこんでいたわたしに声をかけてくれた…なにも言えない。やさしくされると泣きそうになる。

体調悪い?元気なくない? たったそれだけの言葉がうれしかった。同級生たちはなにも言わなかったから。

ほんとうに気にしてほしかったのは同級生の彼女たち。あなたたちの言葉が傷つけてるのをかえりみてほしかった?のかな。

 

先輩はたいそう心配してくれて泣き出してしまったわたしに困って、自分たちより同級生のほうが話しやすいかと気を利かせて時間を作ってくれた。そこまでしか覚えてない…

 

帰り道に和解?した、許してしまった、いまでも後悔してる ほんとうに言いたいことはもっと根っこのぶぶんなのに。制服の冬服は長袖で重い。重いスカートで走る。奇行は得意だから。振り返る ぽかんとしてる同級生 一瞥してあきらめた ここでは

許そうと思った、そういう気持ちが大切だと思ったから。これはただの悪ふざけでたまたま起きたおことできっとまたもとに戻れる、そう信じたかったから。

 

 

暗くなった空にはきっと星が見えていたはず。

でも、覚えていない。