色褪せた過去の鮮やかな夏の風景
夏は好き、夏が待ち遠しい。
でもどうして好きなのかわからない。
わたしが懐かしいと思う夏の風景はわたしの体験したものじゃない。すきだけどね、夏特有のノスタルジー。
わたしの夏は、どうだった?
何を思い出す?
高校時代。
ジリジリ焼け付くアスファルト、生温くまとわりつく空気、排気ガス、浮わついたセーラー服。旧国道のあの帰り道を思い出す。とにかく怠い。
高3の夏休み、冷えた自室に引きこもって眠り続けたのは気持ちよかったなあ。
中学時代。
蒸した体育館、冷めない身体、短い髪が汗で首にはりついてる。
部活と好きだった女の子の部屋と、花火大会でずるしたことしか思い出せない。後ろめたい夏。
小学生は夏のプール、校庭の脇、学童の前。中学生でははっきりと嫌悪感があったけどこの頃もなんとなく男の子といっしょなのがいやだったな。なんでいやなのかあまりわからないくらいぼんやりいやで、被るタオルに安心感を抱いてたね。
額に汗をかきながら自転車をこぐ。プール、図書館。お母さんの用意してくれた冷やし中華。
学生時代のことはやっぱりあまり思い出せない、